目の前で話しかけられているのに…

公園でいつも会うおばさまが、チョコレートをヒルマに差し出して言いました。「はい、チョコあげる!」
大好きなチョコに行儀悪く飛びつくかと思いきや、ヒルマはまったくの無反応でした。
「ちょこどうぞ、だって。ありがと、は?」
わたしのフォローにも表情ひとつ変えません。まるでヒルマの目の前には誰もいないかのようです。
おばさまは困ったようにこちらを見ました。
わたしは丁寧にお礼を言って受け取ると、ヒルマの手にチョコを握らせ、足早に公園を出ました。何かヘン…何かヘン…、と思いながら。
保健師さんに相談しました

当時、月に1度、保健師さんの家庭訪問があったので、この不可解な出来事を報告してみました。
すると、「ヒルマくんッ!!」と大きな声でヒルマを呼び、「目が合うから大丈夫よ」と笑い飛ばされました。
「ちっとも大丈夫じゃなかったですよ」
いつか機会があれば、そう報告したいのです。